屋久島環境文化研修センター(屋久島町安房)の職員・渡邉卓実さんが採集した「ヤクシマコクワガタ」と「ヤクシマオニクワガタ」が最小レコードとして雑誌「BE KUWA(ビー・クワ)」3月号に掲載された。
「ヤクシマコクワガタ」は屋久島や種子島に生息する熊毛亜種。2020年6月、クワガタが好むシイやタブの木がある小瀬田集落の森で昆虫採集中に偶然見つけた。2019年度版のチビレコードは全長22ミリ、渡邉さんが採集した個体は18.9ミリ。
「ヤクシマオニクワガタ」は屋久島だけに生息する固有種。腐った木材から採集した幼虫を飼育し、成虫になったところを計測した準飼育個体。クワガタは一般的に広葉樹を好んで食べるが、同種は針葉樹も食べる。屋久島が南限で、標高700~1000メートルで見られる。2019年度版のレコードは全長18.5ミリ、渡邉さんの準飼育個体は16.2ミリだった。
渡邉さんは「人間にとっては小さな違いに思えるが、虫にとっては1ミリでも大きな違い。レコードは0.2ミリから申請できる。屋久島環境文化財団が発刊する昆虫ガイドブックを担当しており、写真撮影のための昆虫採集をしていてどちらも発見した。最小レコードを更新したことで、国内で最も新しいレコードが掲載された図鑑になる」と生き生きとした表情で話す。
渡邉さんが島内で採集したクワガタは手作りの屋久杉製標本箱に並べる。「島民の方々に協力してもらい約1年かけて手作りした。木目の風合いを生かし、材が呼吸できるよう天然オイルで仕上げているので、屋久杉の香りも感じられる。SDGsを意識し、地域の素材を生かした自然にかえる標本箱を作りたかった」とも。