11月11日と13日、夜明け前の屋久島で国際宇宙ステーション(ISS)が肉眼で観測できた。
11日は夜明け前の5時35分にISSが北北西の空に現れ、13日は西の空に5時37分に現れた。両日とも雲一つない晴天で、街の明かりが少ない屋久島では無数の星が輝いていた。三日月が出ていたが、ISSの出現とは反対方向だったので観測には影響がなかった。
予定の時刻に出現方向を探していると、どの星よりも明るい細長いものが森の向こうの上空に現れた。最初は静止しているように見えるが、周囲の星との位置関係から少しずつ移動していることが分かる。ISSはおおむね南方向へ速度を上げながら進む。流星ほど速くはないが、上空を通過する航空機よりは速い。航空機のように点滅はせず、音もない。弧を描きながら静かに5分ほど進み、森の向こうの空に消えた。
肉眼で見るISSは、帽子をかぶったこけしのようにも見える。こけしの頭に当たる部分は米国とロシアの実験棟、胴体は宇宙飛行士の居住棟。帽子の右側の縁が日本の実験棟「きぼう」で左側は欧州の実験棟。ISSはこの帽子を先頭に移動している。胴体の左右にうっすらと見えるのは、宇宙ステーションの熱を排出するためのラジエーターで、その外側に太陽電池パネルを並べた巨大な構造物が並んでいるはずだが肉眼では見えない。
ISSも月と同様、太陽の光を反射することで地上から観測できる。月よりはるかに小さく、地表から約400キロの上空を時速2万7700キロ(秒速7.66キロ)で通過するので、見えるのは日没直後か夜明け直前の数分間に限られる。
さまざまな要因によってISSの軌道はずれてしまうため、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のホームページでは、最新の位置情報に基づいた可視情報を提供している。