屋久島町と屋久島高校(屋久島町宮之浦)が3月24日、屋久島高校を魅力化するための協定を締結した。
魅力化プロジェクトの協定書を披露する屋久島町長(右)と屋久島高校校長
2020年度の具体的な活動内容は、通学バス料金の負担軽減、県外からの入学促進、高校生のための公営塾の検討の3点。
町で唯一の全日制高校である屋久島高校は、島中から生徒が通い、その多くが通学バスを利用する。町は以前から通学バス料金を補助してきたが、生徒の住む地区によって負担額が異なり、片道2時間かかるという最も遠方の栗生区の生徒の場合、負担額は月1万1,500円。補助金増額によって、現在最も低額の椨川区と同一の4,000円に一律化する。そのための条例が3月に制定され、4月から適用される。
県外からの入学を促進するため、屋久島高校は昨年から「地域みらい留学」に参加している。「地域みらい留学」は都道府県の枠を越え、地域の魅力ある高校で3年間を過ごすための公立高校のネットワーク。文部科学省などが後援し、全国55校(3月26日現在)が参加している。年に数回、東京や大阪などの都市でフェスタと呼ぶ合同説明会を開き、各校が学校や地域の魅力を紹介する。屋久島高校にはこの4月に関東から2人の留学生が入学する。町は、下宿代や帰省費用の一部を補助するなど、この活動を支援する。
公営塾とは、高校生の学習環境を整備するために町が導入を検討している取り組み。屋久島高校の生徒数は減少傾向にあり、2019年度には普通科と情報ビジネス科1クラスずつとなった。従来、教員が学内で補講を行って正規の授業時間では足りない内容を補ってきたが、公営塾は島に常駐する専任の講師が高校と連携しながら島内各所で補講を行う。現在、生徒や保護者からアンケートを募ってニーズの有無や適切な実施形態を調査するための準備を進めている。
町の人口はピーク時には2万4000人を超えていたが、その後減少を続けて2015(平成27)年には1万3000人を割り、25年後には9000人ほどになると推計されている。屋久島高校の魅力化はこの町で安心して子育てができることにつながり、ひいては町の人口維持に貢献するものと期待されている。