屋久島町が1月12日、薫製を製造販売する「けい水産」(屋久島町安房)で、鮮魚の毛細血管まで血抜きをする「お魚血抜き研修会」を開いた。
魚の鮮度を保つために血を抜くことは一般的だが、毛細血管に残った血は鮮度が落ちたり生臭くなったりする原因になる。研修会では、鮮魚の商品価値を高める「津本式究極の血抜き」という方式を考案した津本光弘さんが、実演を交えながら詳しく方式を紹介した。
エラの奥と尾びれの付け根に包丁を入れ、市販の高圧ホースに取り付けたノズルを使って中骨に沿った太い血管に真水を勢いよく送り込むと、血が尾びれ側から出てくるが、さらに真水を送り続けると毛細血管にも水が送り込まれる。しばらく立て掛けておけば、水に溶けた毛細血管の血がほとんど抜けるという。
このように処理された鮮魚を数時間~数日寝かせると熟成しうま味が増す。宮崎市内の水産会社に勤める津本さんは、鮮魚を遠方に送る際、輸送中に熟成するよう調整しうま味の増した魚を届けている。この方法を屋久島の漁業に適用すれば、本土までの輸送時間を熟成のために有効利用できる上に、保存が長期化できるため島内での消費拡大も期待できる。
けい水産の厨房(ちゅうぼう)で、取れたての魚を津本さんが鮮やかな手付きで血抜きした。窓越しに漁師や鮮魚店主らが見入る中、サバやトビウオを含むさまざまな魚を処理しながら、魚種に応じて詳しく解説し、専門的な質問に答えていた。実演の様子はビデオ撮影され、2カ所に設置されたモニターで見ることもできた。
会場の前にはカンパチ、ハマチ、シマアジの刺し身とすしが並べられ、「究極の血抜き」をした魚とそうでない魚の食べ比べが行われた。味覚には個人差があるが、「究極」の方は生臭さがなく、刺し身よりもすしネタの方が違いが顕著だという意見が多かった。