屋久島おおぞら高校(屋久島町平内、TEL 0997-47-3300)で11月23日、卒業生を対象とした成人式が行われた。
屋久島おおぞら高校は屋久島に本校を置く通信制高校。全国各地にいる8000人の生徒は、普段は自宅または「通学キャンパス」という提携サポート校で勉強し、年1回屋久島でのスクーリングに参加する。4泊5日の滞在中に、教室・体育館での授業や屋久島の大自然での特別活動などを通じてさまざまな経験を積み、仲間との絆を深める。
成人式を開くのは今回が初めてで、新成人になる卒業生を、かつての学び舎(や)で祝おうというもの。屋久島で例年最も気候が穏やかなこの時期を選んだ。北は岩手県大船渡市から南は福岡県直方市まで26人の卒業生とその家族7人の合計33人が遠方から参加した。
式は校長の梶俊之さんのあいさつで始まり、「あなたらしく人生を歩んでいけるように」との願いが書かれた「成人証書」が一人一人に手渡された。成人証書の台紙には、この日のために企画された和紙が使われた。屋久杉の端材を「センバスビレッジ」(屋久島町小島)の水車でパウダー状にし、淡路島のお香職人の技術で和紙に漉(す)き込んだもので、杉の強い香りが会場に満ちていた。
校長から「この成人式を飛躍のチャンスにしてほしい」との祝辞の後、全員が一言ずつ「多様性を認めることのできる大人に」「誰にでも話しかけられる優しい大人に」などの誓いを表明し、先生や家族も交えて記念撮影を行った。
栃木県宇都宮市から来た母親は「娘が地元の成人式に出席できなかったので、おおぞら高校から案内があったときは迷わず参加を申し込んだ。人とのコミュニケーションが苦手な娘が、かつてのクラスメートたちと楽しく話している様子を見て、とてもうれしい。12時間かけて屋久島に来たかいがあった」と目を細めた。