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網代小屋で語り、うたい、踊るライブ「真夜中の人魚」 屋久島の不思議な物語題材に

助けられた人魚が舞う

助けられた人魚が舞う

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 屋久島町歴史民俗資料館(屋久島町宮之浦、通称「歴民館」)に併設されている網代(あじろ)小屋で8月24日、「語り、唄(うた)い、踊るライブ『真夜中の人魚』」が上演された。

音響が語りを盛り上げる

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 題材は松田高明さん著「屋久島の不思議な物語」(秀作社出版)に収録された同名の物語。前半は島の西部、半山の森に住む「小父」を筆者が訪ねるたびに経験した不思議な出来事。後半は小父が語ってくれた人魚の話。嵐で打ち上げられた人魚を助けて以来、森や海で珍しいものが手に入るようになる。

 上演は、屋久島の代表的な民謡「まつばんだ」で始まる。南九州に伝わる三味線に似た木製楽器ゴッタンの伴奏に合わせ、「屋久のお岳をおろかにゃ思うなよ」「アー、チュイサヨ、チュイサ」とうたう。続けて、採れるはずがないシャクナゲの葉、季節外れの美味な柿、釣れるはずがないボラなど、小父の家で目にした不思議な出来事が、屋久島言葉を交えながら語られる。ところどころ横笛などの音響効果が加わって語りを盛り上げる。

 間奏の「宮之浦の子守唄」の後、小父が語る。真っ暗闇で夜釣りをしていると、女のすすり泣く声が聞こえる。岩に挟まれて動けなくなった人魚だった。小父は人魚を抱き上げて波打ち際まで運んでやった。元気になった人魚は、民謡「いでどん」をうたいながら踊って喜びを表し、さまざまな物を小父に届けるようになる。

 出演者全員による「永田の子守唄」の合唱と踊りで幕となる。「こやの突(と)っぺんから海(うん)の底みれば、海の底には魚(いお)がおる、ヨイヨイヨイヨイ、ヨイヨーイヨイ」。曲に合わせて約50人の観客も手拍子。中には一緒に踊り出す人もいた。踊りながら出演者が1人また1人と退場し、最後の1人が退場すると会場は拍手喝采で満たされた。

 会場の網代小屋は、実際に使われていたものを歴民館の中庭に移設したもの。普段は民具などを展示しているが、ライブに合わせて畳ほどの大きさの絵画3点が壁面を飾り、網代小屋の雰囲気に絵とライブが溶け込んだ。

 出演者は新出初美さん(前半の語り)、市川ひろこさん(後半の語り)、安部弥生さん(唄と踊り)、安部心也さん(音楽と音響)、ユアサケイコさん(美術と演出)。

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