屋久島町総合センター(屋久島町安房)で11月29日、講演会「自然と人を大切にする循環型社会」が行われた。
里山の環境保全と地元産スギ材(地杉)の活用を呼び掛ける団体「屋久島大屋根の会」が、毎年開催している勉強会「地杉の集い」の一環。同会では、これまでに屋久島産の杉材で建てられた住宅見学会をはじめ、有識者による講演会やシンポジウムを行っている。
第12回となる今回は、森林の生態と造林に関する研究に長年従事してきた農学博士の藤森隆郎(たかお)さんを招いた。
藤森さんは、地域の特性を生かした循環型の林業経営を提言しており、「一度に伐採して苗木を植えるのではなく間伐や枝打ちなど、丁寧な手入れを施し択伐(厳選した木のみ伐採)することで、豊かで美しい森を育てることができる」と話した。講演の後は、林業関係者をはじめ、環境問題に関心の高い島民などと、活発に意見を交わした。
屋久島大屋根の会メンバーは「樹齢1000年を越す屋久杉の伐採は、2001年に禁止されたが、一方で、戦後に植林された屋久島の地杉を活用しようという動きが高まっている。当会では今後も、堅固で香り高いという特徴を持つ屋久島産スギ材の魅力発信に取り組んでいく」と意欲を見せる。