60匹ものこいのぼりがはためく楠川のほとりで5月5日、毎年恒例の「楠川城祭り」が行われた。
20回を数える今年は「信州松本藩鉄砲隊」に所属する楠川出身の平田和文さんが、300年前の本物の火縄銃を使った演武を披露し、祭りの火ぶたを切った。
中世の山城、楠川城跡の脇に設けられた特設ステージには、手作りの衣装に身を包んだ「子ども鉄砲隊」が登場。「子ども鉄砲隊」は地元の小学1年生から3年生で結成されており、地元小学生が「楠川城合戦記紙芝居」を演じ、歴史を今に伝えた。小学4年生から中学生は、集落の伝統芸能である「楠川盆踊り」を披露した。
1524年、種子島氏によって築城された楠川城は、日本で初めて実戦で火縄銃が使われたともいわれる場所。一時的に島を占有した禰寝(ねじめ)氏から城を奪還すべく、鉄砲伝来の翌年である1544年に合戦が行われたとされる。
牧実寛区長は「祭りは、子どもたちが1年間身につけたことを発表する場でもある。毎年繰り返すことで、自然に歴史を学んでくれれば」と話す。
会場には、楠川集落の特産品であるお茶やガジュツ、ウコンが並び、南九州で端午の節句に食べられる伝統菓子「あくまき」や「かからん団子」、種子島と屋久島の伝統菓子「つのまき」なども販売され、物販のコーナーもにぎわいを見せた。