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屋久島の神社で「夜ごもり」 縁結びの神様がつなぐ出会い

以前は6つあった益救神社、現存するのは宮之浦と原の2つ

以前は6つあった益救神社、現存するのは宮之浦と原の2つ

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 屋久島の原益救(はるおやく)神社で12月17日、伝統行事「夜(よ)ごもり」が行われた。

普段とは異なりにぎやかな拝殿の中

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 開始時刻、原青年団団員や住民など男女12人が拝殿に集合。テーブルには鍋や刺し身などの食事が並ぶ。食事の前に全員で2礼2拍手1礼し、神殿にあいさつ。その後1人ずつあいさつし、手のひらに刺し身をのせて食べ、酒を飲む。この日は代表して原青年団団長の日高龍真さんが行った。「原益救神社は縁結びの神様。『良縁を頂く』の意味から、刺し身は自分では取らず、他の人に取ってもらう」という。

 この日は旧暦の10月末日。旧暦10月は神無月と呼ばれ、神様がいない月。9月末日に出発し、各地の神様が出雲に集まり縁結びなどの話し合いをし、10月末日に帰るという。夜ごもりは送る日と帰る日にそれぞれ祝宴を開く。

 顔見知りの地元住民が並ぶ中、行事を偶然知った海外からの観光客も同席。日本語と英語が飛び交い、地元住民から「わっぜよか晩(鹿児島弁で『とてもいい夜』の意味)」などの方言を教わっていた。「出会いのための行事なので、集落外の人も歓迎する」と日高さん。初めて顔を合わせるメンバーもいたが、開宴から4時間半、終始和やかに親睦を深めた。

 夜ごもりは屋久島で60年以上前から続く伝統行事。携帯電話などの連絡手段がなく、交通も整っていなかった時代、貴重な出会いの場になっていた。実際にカップルが生まれることも多く、結婚へ結び付くこともあったという。

 午前0時、旧暦11月1日を迎えると再び神殿に向かい、全員であいさつ。神様に良縁を祈願した。

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